懐徳堂絵図展屏風解説
 
 明治44年(1911)10月、府立大阪博物場美術館において懐徳堂展覧会が開催された。その前年、西村天囚(にしむらてんしゅう)らの呼びかけで江戸時代の大坂学問所「懐徳堂」の復興と顕彰を目的とする「懐徳堂記念会」が設立され、懐徳堂の儒者たちを追悼する記念式典の挙行、貴重書の復刻刊行など、積極的な顕彰活動が開始されていた。本展覧会もそうした事業の一環として開催されたもので、会期は10月1日〜6日の6日間であった。
  この展覧会に出品された資料の中で、ひときわ目を引く大きな屏風があった。「懐徳堂絵図屏風」である。これは、中井家子孫の中井木菟麻呂(なかいつぐまろ)が江戸時代の懐徳堂学舎に関わる絵図・記録類を屏風一双に貼り付けたものであり、各6面、計12面からなる。各面は縦185p×横85p、12面をすべて展開すると幅が1020pになる大型の屏風である。
  ここには、創立時以来の懐徳堂の絵図・平面図が多数貼り付けられているが、この屏風が作成された経緯については、中井木菟麻呂「懐徳堂遺物寄進の記」(『懐徳』第11号、1933年)に記されている。それによれば、他家に寄託してあった資料の中に、木菟麻呂も初めて見る貴重な資料があり、この中の懐徳堂学舎に関わる絵図類と中井家所蔵の関係資料とを併せて、この展覧会用に屏風に仕立てたというのである。
  このコンテンツでは、屏風各面の概要を(1)〜(12)に分けて解説する。それぞれの面をクリックすると解説文が表示される。
 
屏風 第一面〜第六面 屏風 第七面〜第十二面
 
トップへ 懐徳堂絵図屏風解説 懐徳堂学舎の変遷